当院では、
まだ持続的蛋白尿が出ていない第2期までの患者様に、
尿中微量アルブミン定量を定期的に行いつつ、
以下の方針で糖尿病治療を行います。


動脈硬化(予防)の治療として
体内でインスリンを増やさない
以下の治療薬、

ビグアナイド        …末梢での糖取り込み促進,etc.

αグルコシダーゼ阻害薬(αGI) …糖の消化吸収を遅くする

SGLT2阻害薬        …尿にglucoseを排出する。


主にこの3種のうちのどれか又は併用で対応しつつ、
塩分制限(難しいので心がける程度でも)適度な糖質制限を患者様にお勧めします。
特に➂は、使用しやすい治療で、まずはここから導入致します。



上記の3種類の内服薬は、先に説明した
「糖尿病性腎症悪化防止プログラム拠点病院」が行う「透析にしないための糖尿病治療」と、少し違いますが
(インスリンを投与もしないし)内因性のインスリンを増やす内服薬(*)をなるべく使用しない、
という点で、
腎臓の機能を損なわない方針であることは同じです。
持続蛋白尿が出ている第3期以降の患者様に関しては、
「糖尿病性腎症悪化防止プログラム拠点病院」にご紹介させて頂く方針です。

  

上記の(*)
内因性のインスリンを増やす内服薬」とは、
SU類(グリミクロン、オイグルコン、アマリールなど)
DPP-4阻害剤(ジャヌビア、エクア、トラゼンタ、ネシーナなど)
GLP-1アナログ(ビクトーザ、バイエッタなど)
です。



で、
治療の目標として一般的なのが、これ。    ↓



DM 検査値の目標



しかしこの通りにやっていても、
インスリンをガバガバ打たれていると、
HbA1c<6でも透析になったりしています。
HbA1cをごちゃごちゃ言うよりも、
インスリンを高めない(ましてや注射なんて…)ことを重要視します。




次は、糖尿病性腎症の進行期分類です。



糖尿病性腎症の病気分類




 上の表の中で、第5期だと必ず透析です。今、第1期の方でも、しっかり治療しなければ、時間の経過とともに必ず第1期→2期→3期…と進行していくでしょう。
すでに持続的に蛋白尿が出ていると、
第3期後期~4期、
つまり、透析になる直前です!!


 糖尿病性腎症の典型的な経過



(1)軽症のうちに早期発見

糖尿病腎症を発症しても、早期に発見し適切な治療を行えば、進行を抑えることは十分可能です(血糖コントロールの動機付けの意味が重要)。そのためには、尿検査は欠かせません。

定期的な尿検査で早期発見、早期に治療を始める

ことが大切です!

特定健診では尿蛋白が必須項目であり、糖尿病に加えて尿蛋白(+)以上であれば第 3 期と考えられます。(±)の場合は微量アルブミン尿の可能性が高いため、医療機関では積極的に尿アルブミン測定を行うことが推奨されています。「尿アルブミン検査」は健診項目にはありませんが、医療機関に受診して尿アルブミンを測定することで、第 2 期の把握が可能となります。

 アルブミン尿は早期の段階から腎機能予後や CVD(心血管疾患)を予測できる指標であり、早期腎症の診断に有用です。蛋白尿陰性の場合の軽度 eGFR 低下は腎機能予後や CVD を予測できず、早期糖尿病性腎症の診断には有用ではありません(CKD 診療ガイドライン 2013 糖尿病性腎症 P80)





 

(2)進行して第3期「タンパク尿+」になったら

誰でも、何とか透析にならないようにしたいと願うはずです。

 一方、透析患者が増えすぎて困っている
厚生省が「腎不全患者を透析に導入させないように治療する拠点病院」を設定するプロジェクト『糖尿病性腎症重症化予防プログラム』を始めました。
 ↓ こんな感じです。

https://dm-net.co.jp/calendar/2019/028827.php

2016年には厚生労働省、日本医師会、日本糖尿病対策推進会議の3者間で「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、市町村国保などの取組みを国レベルで支援し始めました。

 糖尿病腎症の重症化予防の取組みは、▼医療機関未受診者および受診中断者に対する受診勧奨・保健指導、▼通院患者のうち重症化リスクの高い患者を主治医が判断して行う保健指導――を二本柱として、人工透析への移行を防止することを目的としている、とされています。

糖尿病性腎臓病重症化予防プログラム




具体的には、かかりつけ医を通して透析になりそうな患者を抽出して地域拠点病院に集め治療し、「透析にさせていない」実績を一定程度作った病院を「糖尿病性腎症悪化防止プログラム拠点病院」に指定して、保険点数を厚くすることで診療を支援するようになりました。


糖尿病性腎臓病悪化予防の体制


 ところで、その核心部分である「透析にしないための糖尿病治療」の内容は、あまり公にされていないのですが(公にしたくない理由があるのかも)、腎保護作用を認めた3種類の内服薬を使う治療です(お聞きになりたい方は当院の外来でこっそり教えます)。


その治療の要点は、

減塩しながらなるべくインスリンを使わない治療です。





(追伸)ここで疑問を感じます。今でも糖尿病治療で糖尿病専門医はインスリンをたくさん使っているのに、今更「インスリンを使わない治療」とは?(*_*;
矛盾してます。
先程の『糖尿病性腎症重症化予防プログラム』を紹介しているサイトの、別のページで、
インスリン治療を読者に勧めています!


https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029216.php


あきれます。
インスリンを打ち続ける糖尿病専門医は、
どう思っているのでしょうか?





 

■腎臓の働き

 腎臓の代表的な機能は、血液中の老廃物胃や余分な水分を、尿として体の外に出すことです。

腎臓の外表面に近い部分には腎臓の機能をつかさどるネフロンが集まっており、1個の腎臓に約100万個存在します。ネフロンは毛細血管の塊である糸球体とそれを包むボーマン嚢、ボーマン嚢から続く尿細管からできています。心臓から送り出された血液が腎臓に運ばれると、糸球体部分で血液は濾過されます。

 


 腎臓の構造




高血圧や糖尿病は血管にダメージを与えて弱くする
ため
高血糖状態が直接血管内皮細胞を障害するのか、或いはインスリンが障害するのかはまだ明らかではないですが)、
毛細血管の塊である糸球体は高血圧や糖尿病のコントロールが悪いと
ボロボロになって破壊され、
その結果、タンパク尿がでるようになり、
ついには糸球体がつぶれます。
糸球体がつぶれると、
老廃物や余分な水分は体外に出せなくなります。
糖尿病による高血糖状態が長く続くと、
大抵は途中から高血圧も合併し、
腎臓の血管が障害され、
その働きが徐々に低下していき、
これを放置していると最終的には腎臓がほとんど働かなくなって『腎不全』『透析治療』となります。



糖尿病性腎症由来の透析患者が増えている




透析患者数は2016年末で329.609

糖尿病性腎症は38.8%で、原因疾患の第1位!!




 糖尿病・高血圧患者さんが腎機能障害を合併すると問題なのが、心血管病のリスクの上昇です。

腎疾患の原因が糖尿病の方は、通常の腎臓病(糸球体腎炎など)の方より、心筋梗塞や脳梗塞などに罹患するリスクが6倍、高血圧の方は34倍高くなります。腎機能障害が進み腎不全となっても、透析を行えば通常の生活を営むことが可能ですが、心筋梗塞や脳梗塞になってしまうと、生命に危険が及ぶだけでなく、その後寝たきりになってしまう可能性もあります。高血圧・糖尿病の方が腎臓を守らなければならないのは、透析にならないためだけでなく、心血管病を予防するためでもあるのです。


↑このページのトップヘ